プロローグ

日本が観光立国政策を目指して以来、NHK番組トラッドジャパンの人気や日本文化紹介の出版物数の増加に見られるように、日本を英語で外国人に説明するニーズの高さはとどまることを知りません。そこで、今回は前作の『英語で説明する日本の文化』に引き続き、『英語で説明する日本の文化 必須表現グループ100』を書きました。

書店へ行っても日本紹介に関する本はたくさんあるのですが、どの本を見ても、日本事象を写真とともに単に英語で説明しているだけで、それらをどうやったらうまく英語で言えるようになるかのコツやノウハウが記されていません。私の30年近い実用英語指導経験から言えるのは、それをただ読んでいるだけでは読者自身がそれらを英語で言えるようにならないであろうし、ただやみくもに何度も音読して暗記しようとしても効率が悪いということです。

そういった疑問を抱きながら、過去10年以上に渡って通訳案内士試験合格対策指導の中で、どうしたら効率よく日本事象を英語で発信できるかについて模索し、でき上がったのが本書です。

本書は、日本のことを英語で何でも説明するのに、最もよく使われる表現100グループを厳選し、それらがいかに役立つかを示しています。最近も、島根県松江に行ったとき、駅の観光案内で手にした英語2ページ500語ぐらいのパンフレットの中で、complete,panoramic view,home to,displays ~,on display are,contrast with,highlight,is located adjacent to,situated,boast,including,is best known for,is famous for,is popular for,introduced,literally,combines ~,features ~,depict,ranked number,consists of,viewed in,houses《v》 ~,providesとその中の25個以上も使われていて、日本に関する文献10以上のコーパスを用いて厳選した表現100グループの重要性を再認識しました。

本書は、重要なもの順に「【最重要表現】グループ」「【必須表現】グループ」「【重要表現】グループ」「総仕上げ【分野別】発信力ワンランクUPグループ」に分類し、それらを運用できるように頻度別に「発信力UPトレーニング」を行うように構成されています。まずは「和文英訳トレーニング」にチャレンジしていただき、その後、その解説を読むことでさらに表現力UPができるようになっています。次にCDを聞きながら、補足例文も含めて、音読や、リプロダクションや、シャドウイングトレーニングをしながら完全にマスターしていただきましょう。そして最後に、さらにワンランクUPを狙う人のために、分野別に表現力UPできるような構成になっています。

また、途中で息切れしないように、面白くてためになる「通訳ガイド体験」や、「通訳ガイド試験突破攻略法」、ハイフン表現をはじめとする語彙力、表現力UPのコラムも満載しました。そして例文は、暗記できて、ライティング力、スピーキン力、リスニング力が同時にUPできるようにできるだけ無駄をなくし、20語ぐらいになるように工夫を凝らしました。

本書をマスターすれば、皆さんの英語表現力・発信力はきっと生まれ変わることでしょう。そして通訳ガイド1次、2次試験突破はもちろん、ボランティアやプロのガイドとして活躍したり、日本のことは何でも案内できるようになると信じています。

最後に、本書の製作にあたり、執筆協力&校正に惜しみない努力をしてくれたスタッフの祐田直子氏(英文翻訳、例文作成、校正)、天野正勝氏(通訳ガイド体験コラム、例文作成)、ミッチー里中氏(ガイド試験突破コラム)、および(株)語研編集部の島袋一郎氏と本書執筆の母体となった参考文献の著書の方々には、心から感謝の意を表したいと思います。それから何よりも、我々の努力の結晶である著書をいつも愛読してくださる読者の皆さんには、心からお礼を申し上げます。それでは皆さん、明日に向かって英語の道を、
Let's enjoy the process!(陽は必ず昇る!)

植田一三
上田敏子
山中敏彦
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