はじめに

2011年3月11日に発生した東日本大震災直後から、日本のメディアでは被災状況、死者・行方不明者数、捜索救助活動、避難所の様子、物資の不足などに関する報道が連日繰り返されました。さらに福島第一原子力発電所が機能不全に陥り、事故の規模、放射線数値、放射能汚染被害や電力不足についてさまざまな情報と憶測が錯綜し、混乱と不安は現在も続いています。

日本国内が情報であふれる中、海外のメディアは東日本大震災と原発事故をどのように受け取め、どのように報道したのでしょうか。被災者や被災地への支援提供や激励の声が多く集まりました。一方、原発事故に対しては、放射能被害や自国の原発政策に与える影響を懸念し、世界が厳しい目で日本政府と東京電力の動向を見つめています。また、世界第3位の経済大国である日本経済の低迷は国内だけでなく、世界的な産業にとっても大きな問題として捉えられています。

このような海外の視点や、日本では報道されなかった事実を英語で聴き、理解するためのリスニング題材として、本書はVOA(Voice of America)で放送された東日本大震災と原発事故に関する13本のニュースを採り上げました。各ニュースは約2分から4分で、通常の英語ニュースに近いスピードで読まれています。本書では、学習を無理なく進めるために、各ニュースを1分~1分30秒ほどの長さに分け、一回で学習する量を調整しています。また、12本のニュースはVideo Newsとして放送されたもので、パソコンで再生できるニュース映像も付いています。映像は英語ニュースの理解の助けになるだけでなく、海外ニュースの雰囲気を体感できるツールにもなりますので、ぜひご活用ください。

本書の売り上げの一部は、東日本大震災で被災した人々を支援し、地域の復興に役立てていただくために、義援金として寄付いたします。

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