はじめに

 日本語のネイティブスピーカーである私達は,様々な感情を自分が表現したい度合いに応じて自由に表現できますが,英語ではどうでしょう? 感動・満足・幸せ・喜び・怒り・驚き・悲しみなどの感情を表す単語や表現をある程度はご存じだと思いますが,自分が感じた程度に応じてそれぞれの感情を表現できる人はかなりの少数派ですし,多くの英語を学習されている方々は,英会話やメール・手紙などで自分の感情をうまく表現できないもどかしさを感じていると思います。

 本書は,読者のみなさんに自分が表現したい感情を,その度合いに応じて自由に表現していただくことが目的で書かれています。英語での表現力,特に感情を適切に表現できる能力は,英語のコミュニケーションでの重要なスキルのひとつですし,自由自在に英語を操ることが出来るという自信とプライドにも繋がります。また本書はネイティブスピーカーが日常用いる自然で平易な口語表現を中心に紹介していますので,英語を実際に使って覚えたい方には実用の書としても使用できるように配慮しました。

 本書では,感情表現の他,性格・人間関係・健康・挨拶など,日常生活の中でよく使える表現も多く紹介しています。ネイティブスピーカーとの会話,英作文,メール・手紙,バレンタインカードやバースディカードなど,生活の様々な場面で本書で紹介されている表現を使ってみて下さい。本書で扱っている表現をなるべく多く暗記するのもひとつですが,チャンスがあれば積極的に使ってみて,「習うより慣れろ」を実践してみて下さい。きっと自己の表現力が伸びるはずです。

 私がアメリカの大学で院生をしていた当時,ある言語学の先生が Nothing succeeds like language learning.(言語の習得ほど成功するものはない)とよく言っていました。これは,言葉と表現を覚えれば覚えるほど,ネイティブスピーカーとの会話が可能になる…会話ができればできるほど,会話が楽しくなる…会話が楽しくなればさらに新しい表現と言葉を覚える…そうすると表現力に深みがましてさらに会話にはずみがついて言葉を覚えるという意味です。

 英語を学習されている読者の皆さんも,英語での表現力が雪だるま式に増え,成功が成功を呼ぶ方程式を体験してみて下さい。本書がその一助になれば幸いです。

 本書の執筆にあたり,東京電機大学の同僚である Matthew Day 先生には英語の監修やアドバイスなど様々な形で手伝って頂きました。また忍耐強く付き合って頂いた(株)語研の田尻まど香様他社員の方々にも厚くお礼申しあげます。

2012 年3 月7 日
小山内 大
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