はじめに

日本に多くの韓国のサブカルチャーが紹介され,たくさんの方がその魅力のとりこになっています。私が初めて韓国に魅了された90 年代には想像もできなかったことですが,今や日本にいてもメディアを通して多くのコンテンツに触れることができるだけでなく,多くのスターたちが日本を訪れ,数々のライブやファンイベントなどを開いています。インターネットやスマートフォンの普及によりブログやツイッターなどでスターの日常を垣間見たり,ファンへのメッセージを頻繁に目にすることができる時代となりました。

そうした時代において,スターへの想いを自分の言葉で伝えたいという方も多くなり,韓国語を学んでいる韓流スターファンもたくさんおられることと思います。外国語を学ぶということはとても根気のいることで,たくさんの努力を伴うものですが,スターの口からこぼれる一言を理解したい,自分の気持ちを伝えたいという熱意があれば,その苦労も楽しみに変わるものです。

外国語で手紙を書きたいと思えるほど,熱い思いを持って応援するスターがいることは,とてもステキなことだと思います。私も韓国語の勉強や仕事でくじけそうになったときに前向きに頑張ってこられたのは,大好きなアーティストの存在が支えになってくれたからです。本書を手に取ってくださったみなさんの日常も,きっと韓流スターによって輝きを増し,彼らに元気と笑顔をもらっているという方も多いことと思います。

少し話がそれますが,大好きなスターへの親しみを表現するために,タメ口を使いたい!という人もいるかもしれません。韓国語には日本語と同じように敬語があります。でも,日本語と韓国語の敬語やタメ口のニュアンスは少し違う感じがします。日本語のタメ口より,韓国語の方がぞんざいな感が強く,年齢が近い人や年下の人でも初対面でタメ口を使われるのは抵抗がありますし,許しを得ない限り年上の人にタメ口を使うなんてもってのほかなのです。それを考えて,本書では原則的に敬語表現のみ書いてあります。本書を見ながらファンレターを書くみなさんが,タメ口で書くことで,ちょっと失礼な人だと思われてしまったりしたら嫌だな,と思うからです。スターのなかには,ファンへメッセージをタメ口で書いている方もいますし,年上のファンならタメ口でOK,と意思表示している方もいますが,すべてのスターに共通して使えるよう,敬語で統一しました。その代わり,丁寧だけど親しみのあるソフトな表現になるように努めたつもりです。ただし,Twitter の項目の一部は独り言的な表現としてタメ口になっています。

「ファンの方々がスターに伝えたい気持ちとは?」を一生懸命考えながら書きました。伝えたい気持ちは溢れんばかりなのに,韓国語のスキルがまだ追いつかないというみなさんのために,本書が少しでも役に立てばうれしいです。みなさんの想いがハングルに乗って,スターの元に届きますように。

 2012年6月
貝森 時子
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