プロローグ

2017 年の訪日外国人旅行者数(訪日外客数)は約2,869 万人(前年比19.3% 増)という史上最多を記録し,日本政府は2020 年の東京オリンピックに向け,4,000 万人の訪日外客を誘致する意気込みです。そこでますます重要になってきたのが,外国人観光客に日本の姿を正しく力強く伝えることのできる通訳案内士の存在です。

全国通訳案内士試験は,「外国語」試験と「日本地理」「日本歴史」「産業,経済,政治及び文化に関する一般常識(以下「一般常識」という。)並びに通訳案内の実務」の知識テストからなる筆記(第1次)試験と,日本語を外国語に即座に直す通訳試験と質疑を行なう「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」,および提示される3 つのテーマから受験者が1つを選び,外国語で説明を行い,そのテーマについて試験委員と外国語で質疑応答を行う「プレゼンテーション問題」から成る口述(第2次)試験とに分かれています。筆記試験も口述試験もチャレンジングでためになる内容となっています。その筆記試験に一気にパスできるように制作されたのが,この『全国通訳士試験「地理・歴史・一般常識・実務」直前対策』です。

本書を制作するにあたり,2000 年から2017 年までの地理,歴史,一般常識問題の出題項目について頻度調査を行い,設問文とその選択肢についても徹底的に分析を行いました。さらに,訪日外客の間で話題となっている項目も加えています。そして,その知識を一気に身につけられるように,頻度別に項目を並べ,2000 年度以降2 回以上出題された重要事項を赤文字にし,写真や暗記重要項目にまとめをつけ,さらに,勉強が息切れしないように,読んでためになる面白コラムを載せる工夫をしました。

また,新科目「通訳案内の実務」の直前対策については,Q&A 形式の正誤問題を100 問用意しました(『【百問百答】で最重要ポイントを一気にマスター!』,実際の試験の出題形式ではありません)。問題文と解説文を通して,実務の最重要ポイントを一気にマスター・再確認できるように配慮しました。

本書の制作にあたり,多大な努力をしてくれたアクエアリーズスタッフの上田敏子氏(全体構成企画・校正),岩間琢磨氏(校正),通訳案内士試験道場および株式会社オフィス華林の長谷川明子氏,有限会社エル・アリスの河原修嬉氏,および(株)語研編集部の島袋一郎氏には,心から感謝の意を表したいと思います。そして何よりも,我々の努力の結晶である著書を愛読してくださる読者の皆さんには,心からお礼申し上げます。

 それでは皆さん,赤シートを用いて本書を一気にマスターし,念願の全国通訳案内士試験を突破し,得た知識と能力をプロ,ボランティアにかかわらず通訳ガイドの業務の中で役立てて行きましょう!

Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る)
2018 年4 月
植田 一三
高田 直志
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