プロローグ

2017年の訪日外客数は前年比19.3%増の2,869万1千人で,JNTO(日本政府観光局)が統計を取り始めた1964年以降,最多を記録しました。この訪日外客の急増や多様化するニーズに対応するため,2018年1月4日,改正通訳案内士法が施行されました。通訳案内士の名称も「全国通訳案内士」に変更されて,有資格者にはより高い知識と専門性が求められるようになりました。試験の最終合格率(英語)は2013年度には30.9%ありましたが,2017年度には16.3%となり,また英語の一次試験免除の基準がTOEICでは840点から900点以上へと変更され,二次試験の合格基準も6割から7割へと引き上げられるなど,試験の難易度が上がってきていると言えるでしょう。こういった状況の中で,1人でも多くの人がこの試験に合格できるように本書を作成いたしました。

本書の構成は,1~4章までが一次試験対策,5~6章が二次試験対策となっています。1章と2章は,それぞれ「英文読解総合問題」と「英文和訳問題」の攻略法&トレーニングで,日本文化に関する難易度の高い英文パッセージを用い,勉強効率を高めています。3章は「和文英訳問題」の攻略法&トレーニングで,場面別の「案内業務の英語表現」の問題と音読用の例文集を用意し,合格と同時にプロの通訳案内士に必要なスキルを身につけることができます。4章は「日本事象・写真マッチング問題」の攻略法&トレーニングで,二次面接でも使える日本事象や名所説明問題を用意しました。5章の「二次面接試験【プレゼンテーション問題】攻略法&トレーニング」は,観光・地理,宗教・歴史,文化の分野で重要なトピックに関して,音声付きのシミュレーションテストを通して,プレゼン・Q&Aのスキルアップを可能にします。さらに,最短距離でプレゼン対策ができるための「ひな形」,試験で役立つ分野別語彙集,二次試験体験談コラムも織り込んだ充実した内容となっています。6章は「二次面接試験【外国語通訳問題】攻略法&トレーニング」です。2018年度からの新形式では,実際の現場で起こりうることを想定した場面の通訳となりました。これまでなかった質疑も用意し,しっかりと準備できる内容になっています。

本書の制作にあたり,多大な努力をしてくれたアクエアリーズスタッフの上田敏子氏(全体構成企画・1章・4章担当・5章協力),小室葉子氏(1章・5章担当,全章校正),田中秀樹氏(1章担当),岩間琢磨氏(3章担当・1章・5章協力),大西静氏(6章担当),高田直志氏(6章協力),小谷延良氏(4章協力),深谷真佐江氏・細沼佳代氏・ミッチー里中氏(5章協力),今田理恵子氏・中坂明子氏(5章解説協力),加藤哲子氏(翻訳協力),および(株)語研編集部の島袋一郎氏には,心から感謝の意を表したいと思います。そして何よりも,我々の努力の結晶である著書を愛読してくださる読者の皆さんには,心からお礼申し上げます。

それでは皆さん,明日に向かって英の道を,

Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る)
2018年5月
植田 一三
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