
はじめに
皆さんはThe NewsHour with Jim Lehrer(「ジム・レーラー・ニュースアワー」)という番組をご覧になったことはありますか。NHK衛星第1放送(BS-7ch)で放送されているこの米国のテレビ・ニュース番組は、Jim Lehrerをメインキャスターに、取材レポート、専門家やジャーナリストによるディスカッションなどを通して、世界の諸問題を多角的に分析していくもので、速報性重視のCNNなどとひと味違った報道番組です。アメリカでは公共放送PBSにより平日の夜、毎日放送され、最も信頼性の高いニュース報道番組、時事問題討論番組として高い評価を得ています。Jim Lehrerは、大統領候補によるテレビ討論会(presidential TV debate)でも進行役を務める知名度の高いニュースキャスターですから、顔に見覚えがあるという方も多いことでしょう。
この質、量ともに最高レベルのテレビ英語ニュース番組を教材として、ニュース英語に対するリスニング能力を高め、一歩進んだ英語学習をしていただきたいという願いから本書は生まれました。本書には、The NewsHour with Jim Lehrerで昨年後半に放送されたニュースの中から、学習者にとって特に興味の持てそうな題材4トピックを収録しました。1トピックは5日間の学習で段階的に無理なく学習できるよう工夫してあります。
本書の付属CDには、実際に放送された4トピックの音声を完全な形で収録してあります。したがって、1トピックの平均収録時間は約14分と長く、発話速度、文章構造、語彙なども従来の教材と比べてはるかに難しいものです。そこで、「生のままの素材」を聞き取る負担を軽減するために、特別な学習プログラムを組みました。内容理解(大意把握→詳細把握)に主眼をおいた5段階のリスニング・ドリル、重要キーワードやフレーズの解説、ニュース全文トランスクリプト(日本語対訳付き)、学習のポイントなどを通じて、最も効果的なリスニング学習がひとりでできるようになっています。本書をきっかけに、一人でも多くの英語学習者が米国のテレビ・ニュース番組の醍醐味を味わい、上級レベルの英語力を身につけることができれば、著者としてこれ以上の喜びはありません。
末筆ながら、本書を上梓するにあたり、いろいろな方々にたいへんお世話になりました。日本を代表する同時通訳者として活躍しておられる篠田顕子、新崎隆子の両氏には、ご多忙中にもかかわらず、本書のために特別にコラムを執筆していただきました。関西外国語大学短期大学部のJoseph T. Ruelius講師には、入念に英文校閲の労を取っていただきました。The NewsHour with Jim Lehrerを製作するMacNeil/Lehrer ProductionsのDavid C. Sit氏には本書の実現に向けて惜しみないご協力とご支援を、語研編集部の奥村民夫編集長には、企画から校正まで一方ならぬご厚意とご援助をいただきました。この場を借りて、これらの方々に衷心より感謝の意を表したいと思います。
主要著書:『TOEFL® ITP TEST リスニング完全攻略』(語研),『すぐに使える英会話 ミニフレーズ2500』(J リサーチ出版),『はじめてのTOEIC® LISTENING AND READING テスト本番模試』(旺文社)。
主要取得資格:TOEIC990 点,TOEFL iBT120 点,英検1級,全国通訳案内士試験。
趣味・興味:旅行,格闘技,テニス,スキー,読書,料理。