
※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
「これは困った」、「思うように学習が進まない」、つまり、飛躍的に実力をつけたいとき、役に立つのが本書です。
ことばは文法と単語からできています。そのうち文法は特殊な専門家を目指す人以外はさほど必要なく、単語は生きた文の中で覚えるのが最も効果的です。使える文を500覚えれば、コミュニケーションに不自由しない、語学の達人は口々にそう言います。
本書にはおよそ700の例文がありますが、例文には、構文や表現のミニマム・エッセンスがすべて含まれています。
単語といえば、L.N.トルストイらの文豪は2万から2万5,000の語を駆使したそうですが、統計学的には、日常生活には約2,000の語彙があればこと足りるそうです。
本書は、日常生活に必要な約2,300語を収録しています。ロシア文部省が選定した、留学に際しての必須単語〔ТЕРКИ〕のほとんども含まれており、これで特殊な専門家以外には十分のはずです。
ロシアは今、めざましい経済発展を遂げています。豊富な資源と広大な領土もあり、今後の無限の可能性に世界は注目しています。日本でも、経財界を中心に関心が一段と高まりつつあります。本書がこの新時代にふさわしい語彙集となれば幸いです。
終わりに、ロシア語を校閲してくださったO.ザブランナ様に記して感謝いたします。
❖本書の構成と使い方
本書は以下の3 部構成になっています。
【第1章 ロシア語の基本】
この章では,ロシア語の発音と文法の基本について解説してあります。
【第2章 日本語から引くロシア語】
この章では,日本語を手がかりに目的のロシア語を覚えていきます。左ページではロシア語,右ページではそのロシア語を使った例文が紹介されています。例文は日常会話でよく使われる表現,作文に応用できる表現を中心に紹介しました。
例文には発音の参考にカタカナルビが付いていますが,できるだけ実際の音に触れるようにしてください。
【第3章 あいさつと大切な表現】
この章では,覚えておきたいあいさつや大切な表現を取り上げました。
■ 記号
東京外国語大学大学院修了。1988年より1989年までモスクワ大学ほかで在外研究。1991年度より1994年度までNHKラジオロシア語講座講師をつとめる。
現在,東京外国語大学名誉教授。専攻はロシア語学,スラブ語学。
著書に,『はじめてのロシア語』(講談社),『初めて学ぶロシア語』(語研),『プログレッシブロシア語辞典』(主幹,小学館),『ロシア語はじめの30日』(東洋書店),論文に,「運動の動詞の用法と冗長性」,「言語,言語学言語(外国語)教育」,「完了体のいわゆる例示的意味によせて」,「受動的意味の-ся動詞と活動体名詞」などがある。