
はじめに
他の国民に比べて日本人は,他国の文化に対して好奇心を持ち,それをうまく学びたいという前向きな姿勢を持っています。10年近く前,私たちが日本に暮らしていた頃,日本ではイタリアブームが起き始めていました。美術はもちろんファッション,デザイン,イタリア料理への関心が広まっていました。私たちはその後イタリアへ移り,日本の方々がイタリアへ来るのを見ながらこう感じます。イタリアブームは私たちが思っていた以上に定着していて,こちらへ来る日本人は普通のツアーだけでなく,かなり専門的な旅行とか留学をしている方もいらっしゃるようです。それは,イタリアのいろいろな地域でオリーブオイルやワインを試飲するツアーであったり,一番典型的と思われるナポリ風ピザ屋さんを食べ歩きしているグループであったりします。
人気のイタリアレストランへ行くと,必ずキッチンには日本人のコック研修生が1人か2人はいます。それを評価しているのか,イタリアの有名な美食についての雑誌では,日本にあるイタリアレストランについての座談会をしたくらいです。日本のソムリエもかなり世界レベルで優秀と思われるようになってきたらしく,ある日本人のソムリエはイタリアの大きなワイナリーで働いています。そして日本からやって来るお客様がどれだけ大事かを示している例として,フィレンツェにある有名なブティックでは,日本人店員のみを数十人も雇っているくらいです。
これからますますイタリア語を勉強する方が増え,この本を参考にしていただけたらとても嬉しく思います。
橋本 信子
本書の構成と使い方
本書は以下の2部構成になっています。
【第1章 イタリア語の基本】
この章では,イタリア語の発音と基本的な文字の仕組みについて解説してあります。イタリア語らしいイタリア語を話すために,そして第2章で紹介されている例文をより理解するためにも,さっと目を通しておくとよいでしょう。
【第2章 日本語から引くイタリア語】
この章では,日本語を手がかりにイタリア語を覚えていきます。左ページではイタリア語,右ページではそのイタリア語を使った例文が紹介されています。例文は日常会話でよく使われる表現,作文に応用できる表現を中心に紹介しました。
左ページで紹介されている単語のうち,名詞には男女で性別を表示してあります。イタリア語の名詞は性別とともに覚えるのが基本です。男性形を基本に女性形が作られる名詞も多いのですが,詳しくは辞書で参照するようにするといいでしょう。使いやすいと思う辞書をいつも手元に置いておくのも,イタリア語を身に付けるのに効果的です。
1949年イタリアのVenezia生まれ。Venezia大学,東京大学に学んだ後,コロンビア大学大学院でジャーナリズムを修める。イタリア国営テレビ日本特派員を経て,1984年よりイタリアの経済新聞Il Sole 24 Oreのアジア支局長。1999年からは,Sienaの近くのChianti Classico地区のワイナリーCastello di Selvoleの経営に携わる。セルヴォレ・ワインは日本にも輸出されている。
1952年東京生まれ。聖心女子大学卒業。ロンドンのファイナンシャルタイムズ社に勤務した後,東京で『アジアウォールストリートジャーナル』の記者を務め,Guido Busettoと結婚,イタリアに滞在する。現在,ワイナリーとagritourism[アグリトゥリズム]の経営で活躍中。