はじめに
──赤道にまたがる熱帯の国,インドネシア。
東西5,100キロあまりに広がるインドネシアは,アメリカ合衆国をすっぽりのみこんでも,まだ余るほど経度に幅のある国です。そして1万3,000もの島々からなる群島国家です。それぞれの地域には固有の言語と文化,異なる伝統的な習慣があり,独自のアイデンティティを保持している民族が住んでいます。まさに「多様性」の国です。
この多様性を一つに束ねているのが国語のインドネシア語です。このことばはマレー語を母とし,独立後インドネシア語として発展しました。隣国のマレーシア語とは同じ母をもつ姉妹言語です。
インドネシア語は構造が簡潔です。発音は日本語に近く,文法的には,修飾語が後ろに来るなどの違いはあるものの,語順は英語とよく似ています。文字はローマ字表記で,ほとんどそのまま読めばよいのです。ですから初心者にとって非常に入りやすいことばです。
いくつかの重要な文型を覚え,単語を当てはめていけばたいていのことが通じます。活用できる単語の数がインドネシア語上達の鍵と言えます。それぞれ会話の状況に応じて,この『基本単語2000』の項目から,また索引から適当な単語を選び出し,使ってみてください。この過程を何度も繰り返して単語を覚えていけば,インドネシア語に習熟していく手応えが,ずっしりと感じられてくることでしょう。この実用単語集でコミュニケーションの輪をひろげてくださることを願っています。
構成と使い方
特徴どのページも,開いたところがひとまとまりの単位です。好きなところから単語を覚えていくもよし,また,初めてインドネシア語にふれる方は,順に2ページずつ覚えていくというステップをふんだ学習ができます。
本文第1章でインドネシア語の発音と文法を,実際に使う単語で覚えます。基礎的な構文について特に解説しました。第2章とあわせて活用してください。第2章が会話に使う単語です。すべて耳で聴き,口で話すことばで,使用される場面および意味としての覚えやすさを考慮して分類しています。
使い方左のページにあげた単語や解説を,右ページで練習しながら暗記します。各項にチェック用の□がついています。書きこみながら練習して覚えます。
インドネシア語には日本語にない発音や,アクセントやイントネーションの違いがあります。本書でインドネシア語を学ぶには,インドネシアで育ったムルヤティ・ユヌス・ベイさんの吹込による別売CDを活用されるとより効果的です。
まずインドネシア語が,続いて日本語が読みあげられます。本書にあげた全単語を収録しておりますので,学習にぜひお役立てください。
また,別売CD収録の音声は,すべてインターネットからのダウンロード販売も行っております。
CD収録時間
Disc1:58分31秒/Disc2:56分1秒
青山学院大学経済学部卒業。インドネシア大学文学部留学後,RRI(国営放送局)勤務,大学で日本語講師を勤め12年間インドネシアに滞在。インドネシア大学大学院言語学博士課程修了。現在亜細亜大学国際関係学部教授。著書に,『トラベルインドネシア語会話手帳』,『初めて学ぶインドネシア語』(以上,語研刊)がある。
東京外国語大学インドネシア語科卒業。インドネシア大学文学部インドネシア文学科卒業。マラヤ大学大学院マレー研究科修士課程修了。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程終了。現在神田外語大学外国語学部アジア言語学科教授。著書に『やさしい初歩のインドネシア語』『やさしいインドネシア語の決まり文句』(以上,南雲堂刊),『インドネシア語常用会話事典』(南雲堂フェニックス刊),『アセアンの言語と文化』(高文堂刊)がある。