
はじめに
1543年,ポルトガル人が種子島に漂着し,鉄砲を伝えてから460年。1908年,笠戸丸がブラジルに向け神戸港を出港して95年が経ちました。
両国で話されているポルトガル語を学ぶ学習者は増加の傾向にあり,その理由はさまざまです。
ポルトガルは日本人旅行者の好きな国の1つです。ポルトガル語を勉強してまた訪れたい,という人も多いようです。
遠いブラジルに行く目的の1つは,移住した親戚を訪問することでしょう。その際に二世,三世との触れ合いにポルトガル語が必要でしょう。
そして現在,ブラジルから日系人が多数来日しています。彼らの住んでいる地域ではブラジルの物産を売るお店やレストランがあり,周囲の日本人もそれらに親しむようになりました。日系人の子どもたちの指導には,多くの学生の先生,ボランティア,両国の関係者が係わっています。
スポーツ界では,「サッカーを学ぶならブラジルで」と言う指導者がいます。サッカー少年の夢はブラジルで学ぶことでしょう。日本のチームにはブラジル人の選手がいます。
ポルトガルとブラジル両国のポルトガル語は,単語や発音に多少の違いはありますが,基本的なコミュニケ―ションの障害になるほどではありません。いろいろな理由で現在ポルトガル語を勉強している人,これから学びたいと思っている皆様にこの本がお役に立つことを心から願っています。
版に当たっては,私の家族,知人,生徒の皆さんには適切なご助言やご指導を賜りました。ここに深く感謝し,お礼申し上げます。
ブラジル,サンパウロ生まれ。サンパウロ大学ロマンス語言語文学科を卒業後,ポルトガル,スペイン文学研究に携わる。
1964年,熊本大学に留学。1966年より北海道在住。
現在,札幌大学,小樽商科大学,NHK文化センター札幌教室,東急モナリザスクール(札幌)で語学講師を務める。
著書に『初めて学ぶブラジルポルトガル語』(語研)がある。