
はじめに
今や中国は、世界で最も注目されている国のひとつと言っても、過言ではありません。実際、私たちが仕事や観光で中国を訪れるチャンスも、以前とは比べものにならないほど多く、また日本国内においても中国の人々と接する機会は増える一方です。
そんな時代の変化を受けて、中国語関係の教材も数多く世に出ていますが、そうした教材でひと通り学んでも、実際の場面では「もっとこんな風に言いたい」「本当はこう伝えたかったのに」と歯がゆい思いをすることも少なくないでしょう。
これは、そんなときにぜひ手にしていただきたい一冊です。さまざまなシーンで、多くの日本人の心に浮かぶような表現が豊富に集められており、置き替え可能な関連単語も掲載してありますので、そのなかに、きっとあなたが伝えたいひと言も見つかることと思います。また、発音はピンインと一緒にカタカナでも表記してありますので、ある程度学習された方はもちろん、初心者の方にもお使いいただけます。
メディアに登場する中国に関する情報も増加の一途ですが、残念なことに、その全てが明るい内容というわけではありません。接点が多くなるにつれて摩擦が増えるのは致し方のないことかもしれませんが、それを解決する術のひとつが、個人対個人のコミュニケーションではないかと思います。旅先で、仕事の場で、単に型どおりのあいさつをして終わってしまうのではなく、自分の心に浮かんだ言葉を相手に伝えてみる――そこから、一歩進んだ心の交流が生まれてくるのではないでしょうか。
この一冊が、皆様と中国の人々との心のふれあいを育むきっかけとなってくれることを、心より願ってやみません。
北京大学東方言語学部卒。1979年に来日し,以降現在までNHKラジオ日本にて中国語国際放送のアナウンサー・翻訳者として活躍している。1998,99年のNHKラジオ中国語講座ゲスト。日本女子大学非常勤講師も務める。その他,翻訳・ナレーションなど多数。
早稲田大学中国文学専攻卒。中国語研修学校にて,通訳・翻訳の専門訓練を受けた後,中国語番組制作,翻訳をはじめ各方面の中国語業務に従事。主な訳書には『紫の麦わら帽子』(王心麗著/おうふう),『世紀末の華やぎ』(朱天文著/紀伊國屋書店)などがある。