
※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
韓国語の学習者が増えています。日本で実施されている「ハングル能力検定試験」第一回目の1993年春の受験者数は,2,010人でしたが,第29回目の2007年春は,13,407人と6倍以上に増えました。学習書も増え,いろいろな本が書店に並べられています。うれしい話です。
1970年頃から韓国語学習者のお手伝いをしてきた私の周りには,今も韓国語の学習者が大勢います。韓国語を習ってすぐにでも使ってみたい人が増えました。
ところで,外国語は通じればよいという言葉があります。私もこのことをよく口にしますが,ただ通じるだけでは物足りないと思う学習者は意外と多いのです。あいさつひとつでも言葉の意味を正確に理解してきちんと使いたい,と思っているからです。このような韓国語の初心者のために書いたのがこの本です。
1987年に(株)語研から出版された拙著『初めて学ぶ韓国語』は,幸いご好評をいただいていますが,質問もたくさんいただきました。これらの質問を踏まえ,これまでの私の経験をフルに活用した集大成です。これから韓国語をはじめられる方,もう一度韓国語の基礎を固めたいという方にぴったりの内容です。
本文の解説で文法を理解し,CDを活用してきれいな発音や言い回しを身に付けてください。皆さんの韓国語力向上のお手伝いができれば幸いです。
最後にこの本の出版を熱心に勧めてくださった(株)語研の山口貴久枝さん,原稿整理と校正を担当してくれた星文子さん,そしてCDの吹き込みを担当した鄭洲さんに心から感謝します。
● ● ● 本書の構成 と 使い方 ● ● ●
この本はこれから韓国語を始めようという人や,基礎からやり直したい人が無理なく取り組めるように構成されています。
まず,「I 韓国語について」は韓国語とハングルについての概説です。
「II 文字と発音」ではハングルの字形と発音について解説しています。すでに文字や発音に親しんでおられる方はこの章は飛ばして次の章からお始めになってもかまいません。また,この章の後半では発音のルールを取り上げています。韓国語は必ずしも文字どおり発音されるとは限りません。音が変化する決まりをまとめたものが発音のルールです。このルールは一度では覚えきれないかもしれませんが,何度も確認しているうちに少しずつ慣れてきます。CDを繰り返し聞いて韓国語の自然な発音に耳を慣らしていってください。発音が多少ぎこちなくても,外国語は通じればいいのです。初めから完璧を目指すよりも通じる韓国語を目標になさってください。言葉が通じるようになれば,きれいな発音ができるようになるでしょう。
「III 文章の基本」では助詞の使い分けや語尾の接続の仕方など,文章を作る上での基本知識を説明しています。練習問題の代わりに,例文の韓国語を日本語に訳したり,日本語を韓国語に訳したり,またヒアリングの教材として十二分に活用して,文章の構造をしっかり身に付けてください。
「IV 様々な表現」では,表現の幅を広げるために,会話や作文などでよく使われる日常表現を学びます。
「V ここが知りたいQ&A」では,学習者がつまずきやすいことがらや,各章で説明しきれなかった項目をQ&Aの形でまとめてあります。疑問点を解く手がかりとして,また発音のルールや文法事項を確認したり,整理するのに活用していただければ幸いです。
「VI 活用表」は用言の活用形から原形を見つけたり,韓国語の作文をするときの参考にしてください。
随所に挿入されている「会話の基本」は実際の会話ですぐに使える文例を取り上げました。いざというとき頭で考えなくてもすらすら言えるように,繰り返し聞いて声に出して練習してください。最後の1ページまで無駄なくご活用いただければ幸いです。
1933年ソウル生まれ。1955年来日。明治大学政治経済学部卒業。同大学院政治修士課程修了。1963年にNHK国際局に入り,アナウンサーとなる。NHKラジオ「アンニョンハシムニカ ハングル講座」講師,早稲田大学,慶応大学外国語学校,(財)アジア・アフリカ語学院,朝日カルチャーセンターなどで語学講師を務める。著書に『初めて学ぶ韓国語Ⅰ・Ⅱ』『トラベル韓国語会話手帳』(語研),『韓国語・はじめの一歩まえ』『韓国語会話とっさのひとこと辞典』(DHC),『韓国がわかる。ハングルは楽しい!』(PHP新書),『ハングル入門』(講談社学術文庫),『しっかり学ぶ韓国語』(ベレ出版),『言葉が通じてこそ友達になれる』韓国語を学んで・茨木のり子・金裕鴻(筑摩書房)など多数ある。