
音声ダウンロード・すぐ聴く音声 FAQ
はじめに
これまでフランス語を学んできたのに、いざ実際にフランス語でコミュニケーションをしようとして、思ったように話せずガッカリされた経験はありませんか。その原因にはいろいろありますが、その場面に適した表現がうまく出てこなかったという場合も多く見かけられます。そこで本書は、フランス語で会話をするときによく使用する表現、そして、使い方のコツを覚えれば会話力アップにつながるような表現をとりあげ、より自然な、より豊かなコミュニケーションを目指す読者を支援したいという思いから編まれました。
会話で使われることばには、会話ゆえに、直訳では理解することのできない微妙なニュアンスが含まれています。≪A noter≫では、そのようなニュアンスをできるかぎり解説することを試みました。また、会話は、そのシチュエーションなしでは成立しません。【ミニ対話】の場面を実際に想像しながら、表現を覚えていきましょう。そして他にどのような場面でその表現が使えるのか想像することも、実際のコミュニケーションへ向けての準備として役に立ちます。
フランス語を母語としない者が間違えをするのは当たり前のことです。恥ずかしがらず、相手をきちんと見て、ゆっくりでも明確な発音で話すよう心がけましょう。また感情をしっかりと込めて発話することが良いイントネーションに結びつきます。そして、何よりも自分の方から積極的に話しかけようとする気持ちをもつことが大切です。一見冷たそうにみえる人でも親切にしてくれることでしょう。
本書を出版するにあたって、丁寧なネイティブ・チェックをしてくださった、友人で同僚のシルヴィー・ブロッソさん、原稿の査読をしてくれた夫の飯田年穂、そして、いつも気持ち良く仕事ができるように配慮してくださった(株)語研編集部の島袋一郎さんに深く感謝します。
本書の特長
《特長》
本書は,初級から中級学習者を対象としています。「信じられない!」「どうしよう」など,日常会話で頻繁に使われるフレーズを収集した口語表現集です。また,会話に役立つ語彙も集中的に学べます。
表現の選定は教材としての適正を考え,次の 5 点について考慮しました。
- 日常生活の場面で,フランス人が頻繁に使用すること
- その表現の意味する事象が日本社会でも観察されること
- その表現を使用してもその人の教養を疑われる心配がないこと
- 一地域,特定の職業や地位の人しか使わないものではないこと
- 性的,人種的,差別的な要素を含まないこと
《カテゴリー内の構成》
カテゴリー内の構成は,「見出し」「ミニ対話」「À noter」「Vocabulaire」で成っています。
【見出し】
選定された表現を,日本語見出し→フランス語の順で提示しました。Enchanté(e).のようにカッコがある場合は,カッコ内を含む形が女性話者の形です。
【ミニ対話】
選定された表現の使われ方を,具体的なシチュエーションの中で示しています。音声での女性パートは*マークを付記しています。二人のやりとりも「自然な語り口」になっています。日本語訳もTPO を考慮し,必要以上にかしこまりすぎない訳にしました。
【À noter】
「その表現がどういう状況のときに使われるのか」が解説されています。また,関連表現,応用表現,語法についても必要に応じて示しました。
【Vocabulaire】
「ミニ対話」で使われた語句について,意味・使い方を中心にリストをつけました。日本語訳は「ミニ対話」での意味に対応する訳を選びました。また,活用している動詞については,まず「ミニ対話」で使用されている形を記し,“< ”の後に不定法(原形)を示しました。名詞については,「ミニ対話」の中で性別がわかりにくいものに限り,男性名詞=[m.],女性名詞=[f.]の印を付けました。習得した語句には“□”に“✔”マークを入れて活用するとよいでしょう。
また,「ミニ対話」を理解する上で重要と思われる文法事項を,例文をおりまぜながら語法チェック!としてまとめました。入門期に学んだ文法を再確認し,定着させるのに有効です。なお,本書は文法書ではありませんので,文法面については基本的な事項のみを取り上げました。
東京都生まれ。小学生の頃から多年,ヨーロッパのフランス語圏で生活。国際基督教大学卒業後ジュネーブ大学,グルノーブル第3大学で,「外国語としてのフランス語教育」について研究。文学修士。元立教大学講師。現在,東京日仏学院講師,白百合女子大学講師をつとめるかたわら,フランス語教育に関する研究会,教員養成等の活動をしている。
