【場面別】自己紹介をする、同意・反対する、あいまいな返事をする、電話をかける、相手に確認するなど、コミュニケーションで欠かせない50の場面を収録。
【チャート】各場面の頻出パターンを5段階のていねい度に分けてわかりやすく表示。
【例文とダイアログ】実用的な例文とダイアログを紹介。
【解説】言い換え表現、使用上の注意点、社会・文化的な背景を詳しく解説。
※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
私たちが毎日の生活で行うコミュニケーションの多くは,それぞれが独自の機能を果たしています。その機能には,人にあいさつをしたり,手助けを求めたり,感謝をしたり,謝ったり,同意や反対をしたりするなど,さまざまなものがあります。そのとき,特定の表現パターンが使われることがよくあります。したがって,そうした表現をいつでも使えるようにしっかり身につけることが,英語上達のための効果的な方法の一つだといえるでしょう。
ただし,その際に,「言葉のていねいさ」の違いを意識することが大切です。なぜなら会話の場面によって使うのが適切な語句や言い回し,構文も異なるからです。本書は,その効果的な使い分けを身につけるために役立つ,ハンディで使いやすく,実用的な表現集です。
本書では,日々のコミュニケーションで多用される50 種類の機能を場面ごとに取り上げています。いずれも,わかりやすく構成した短いユニットにまとめているので,どの順番からでも読み始めることができます。最初から最後まで通して読んでも,必要に応じて自分の知りたい機能を参照するために拾い読みしてもよいでしょう。
ユニット構成
それぞれのユニットはチャートとパターン学習の2 つのパートから構成されています。
チャート
最初のページには,ある場面で使われる10 項目の表現パターンが「言葉のていねいさ」の度合いの順にリスト形式で掲載されています。上にあるものほど「フォーマル=改まった」表現で,下にいくほど「インフォーマル=くだけた」表現となります。
パターン学習
2 ページ目以降では,チャートで取り上げた10 項目の表現パターンの中から使用頻度の高い5 つについて,詳しく学んでいきます。まず,それぞれのパターンには,3 つの異なる文脈での使用例を示してあります。その次に,例文の解説を掲載しています。解説の中では,表現のバリエーションや使用上の注意,社会・文化的な背景などが説明されています。そのあとに,学習する表現パターンを含む会話文とその解説,そしてパターン学習全体の語彙情報が続きます。また,「関連表現」には,取り上げられている機能に関連する単語やイディオムなどがまとめられています。
全体構成
本書は,「自己紹介をする」(ユニット1)「人を紹介する」(ユニット2)のように,人との出会いの場面で使う表現から始まります。次に,「近況を尋ねる」(ユニット3)「人の消息を尋ねる」(ユニット4)が続きます。このあとのユニットも,その多くが関連する機能ごとにグループ化されています。例えば,「手助けを申し出る」(ユニット5)の次は「人に依頼をする」(ユニット6),「人に意見を求める」(ユニット27)の次は「意見を表明する」(ユニット28)などとなっています。
本書では,「人に言いにくいこと」の表現も怠りなく取り入れています。そのような表現も,毎日の生活でしばしば使う必要に迫られるからです。特に,英語のネイティブスピーカーは,日本人よりも強く自己主張をし,「否定的な」意見でもはっきりと口にします。「異議を唱える」(ユニット15)「『いいえ』と断る」(ユニット20)「悪いニュースを伝える」(ユニット30)などがその例です。なお,「あいまいな返事をする」(ユニット33)や「謝罪する」(ユニット48)など,日本人が比較的よく使う表現もいくつか取り入れてあります。
本書の出版を実現していただいた制作チームの方々に,私の深い感謝を捧げたいと思います。株式会社語研の田尻まど香氏には綿密な編集を,そして翻訳者の小宮徹氏には卓越した和訳をしていただきました。本書のユニット7「人に感謝を伝える」の表現を使うならば,次の言葉をお贈りしたいと思います。
I sincerely appreciate their outstanding efforts.
読者のみなさんには,本書を手にとっていただいたことに感謝いたします。この本があなたの英語力を高める一助となるとともに,いかなる場面でも自信をもってその場にふさわしい表現を使えるようになることを願っております。
(Andrew E. Bennett)
日本語を自分で一生懸命に勉強し,文法的にほぼ完ぺきな日本語を話す外国の方が数多くいます。それでも,その中にはどのようなときでも改まった話し方をする人(例:~でございます),改まった場でもくだけた話し方をしてしまう人(例:~だよね),あるいはその両方をまぜて使ってしまう人(例:おうかがいするよ)をときどき見かけます。これは本人が意識的にそうしているというよりも,最初に学んだ表現がそのようなものだったり,まだ正しい使い分けができていなかったりするためでしょう。
同じことは英語を学ぶ私たち日本人にもあてはまります。自分たちもいつの間にか,英語でそのような「場違いな」話し方をしていることに気づかないだけなのかもしれません。英語には日本語のような敬語はありませんが, 多種多様な「ていねい表現」というものがあります。本書『英会話ていねい表現使い分けでぃくしょなりぃ』は,自分の置かれた場面や状況に応じた自然な会話表現を学べるユニークな表現集です。その最大の特長は50 の場面ごとに10 の表現を集め,それぞれのていねいさを5 段階にレベル分けしていることです。同じことを伝えるのでも,その言い方次第で好感を持たれたり,逆にひんしゅくを買ったりする可能性があります。仕事でもプライベートでも, 英語で話したりメールを書いたりすることの多い方にとって,本書はとても貴重な情報源になってくれることでしょう。
米国出身。カリフォルニア大学サンタクルーズ校(歴史学)を卒業後,ハーバード大学に進学(教育学修士)。6か国語に堪能。著書は40冊を超える。でぃくしょなりぃシリーズ(語研)では,ほかに『英会話ネイティブ表現でぃくしょなりぃ』を執筆。東京都在住。
ニューヨーク州立大学大学院修了(政治学専攻)。ソフトウェア開発会社,外資系のIT企業,数社の出版社勤務を経て,現在はフリーの編集者および翻訳者として活動中。でぃくしょなりぃシリーズ(語研)では,ほかに『英会話ネイティブ表現でぃくしょなりぃ』を翻訳。