はじめに
フランス語の基礎をひととおり学習し終えると、次に、より多くの語彙や表現を身につけることが課題となります。身近にフランス語を話す人々がいる場合は、その人々とのやり取りの中で表現力を豊かにしていくことが可能ですが、日本で生活している場合はそのような機会は希です。また、フランス語で書かれた新聞や雑誌を利用して学習していくこともできますが、その場合、どの単語、どの表現を覚えるべきかを自分で判断するのはとても難しいことです。そこで、日本でフランス語教育に携わっている私たちは、フランス語学習の次のステップを目指しておられるみなさんを支援したいとの思いで、本書を書きました。
収録した語彙や表現は、フランス語圏の人々が日常生活のさまざまな場面で頻繁に用いる口語表現を中心に選び、さらに、日本人学習者が使いたいと思いながらもうまく使いこなせない単語や表現を取り上げるようにしました。
会話文では、フランスで遭遇しそうなシチュエーションを想定して、ネイティブ・スピーカーの発想を活かす形の自然な口調を再現するように心がけました。書かれた文章のみでは伝わらない情報も含まれていますので、必ずCDを聞いてイントネーションや間の取り方なども確認しましょう。
また、会話文においても関連表現の例文においても、見出しの表現以外の重要と思われる語彙や表現をできるだけ多く使用して、いわば「よくばった」構成にしましたので、それらも合わせて学習されることをおすすめします。
それぞれの会話文や例文の場面を想像し、また、ほかにどのようなシチュエーションでその単語や表現を使うことができるのかを想定しながら、声を出して練習してみましょう。そして、実際にフランス語で会話する機会に出会ったときには、間違いを恐れずに学習した語彙や表現を使ってみましょう。「話そうとする気持ちを伝えることがコミュニケーションの第一歩」です。そうすれば、次は必ず相手の人が助けてくれるでしょう。
本書の出版を準備する過程で私たち著者は、改めてフランス語と日本語についてのさまざまな考察をすることができました。このような機会を与えてくださった(株)語研編集部の島袋一郎さんに深く感謝します。