※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
日本で長く中国語を教えていて驚くのは,『三国志』をはじめとした,中国の歴史や文化・慣習にも深い関心や造詣を持ち,加えて,発音と基礎語彙・文法をマスターされている学習者が多いことです。
しかし,学習者の悩みとして,「旅行中の会話に不自由した」「漢字を見ればすぐに意味がわかるが,聞き取れない,話せない」「通じているようで正確に通じていない」といった悩みが多く挙げられます。また,日常会話において,辞書の例文や文学作品の表現をそのまま使うと奇異な発話になってしまうこともあり,使用する上で判断が難しいということです。
本書は,このような悩みに対して,中国語ネイティブ・スピーカーが普段の生活の中で何気なくよく使う406の表現をまず厳選し,さらにその表現の言い回しで使用頻度の高い言い回し(単語・慣用句・成語・決まり文句)のトップ3をランキング形式で自然な対話例と共に紹介しました。さらに,何のためにどんな時に使うのか,それぞれの表現の言語伝達機能と使う場面をページの上にわかりやすく明記しました。全部で1,218個の対話例にはすべてピンインを付け,ネイティブ・スピーカーのきれいな発音で収録された別売のCDもあります。また,重要な単語やフレーズには語句注釈を付け,使い方などのポイントを簡潔に解説しました。自然な会話力だけではなく,語彙力やヒアリング力の強化にもきっと役立つことでしょう。中国語学習が一味違う楽しいものとなるよう,本書が一助となれば幸いです。
最後に,本書の構成と収録表現,対話例,日本語訳などについてご示唆をいただき,本書の完成に尽力してくださった(株)語研の島袋一郎編集代表に心より感謝申し上げます。また,多様な助言やご協力をしていただいた方々,日本語訳に助力してくれた家族に,この場を借りて心よりお礼申し上げます。
2013年5月
目次
大連市出身。遼寧師範大学日本語学部を卒業。中国の高等学校にて日本語教師として8年間勤務後,日本へ留学。2003年,文教大学大学院言語文化専攻修士取得。(財)国際文化フォーラム他にて,通訳・翻訳業務を経て,現在,日中学院の中国語講師。また,日中友好協会支部の理事としても活動している。
中国ハルピン生まれ。
北京語言学院(現北京語言大学)英語科卒業後,同大学にて教鞭を執る。1993年来日後,各所で中国語を教え,現在は日中学院で10年以上非常勤講師を務める。
好きな言葉は,教学相長(jiàoxué xiāng zhǎng)。教えることで学生だけでなく教師も向上する。