※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
以前は何か緊急の用事があれば電話をするのが普通でしたが,昨今ではE メール,また,LINE などを使用することが多くなってきました。これは国際間でもみられる傾向で,スペインの知り合いとのやりとりにも込み入った用事でなければE メールよりもWhatApp というアプリを使い,リアルタイムで距離を超えてのやりとりをすることが日常となっています。
ただ,お互いの表情や声のトーンに頼らないこのようなコミュニケーションの方法では,誤解が生じることも多いのではないでしょうか。その足りない部分を補うのがSNS などで多用する絵文字だと思うのですが,フォーマルなメールなどに使用することはできません。筆者自身も白熱したスペイン語のメールのやりとりでかなり危機的な状況になることが多々ありました。このあたりのことはスペイン人と日本人の考え方の違いなどにも関係がありそうです。ですので,自分が伝えたいことを明確に,そして誤解などを生まないような文章が必要となります。本書では,そのまま使える表現を状況ごとに紹介しています。マドリード出身のBegoña González Afuera により,スペインの若者たちの間で使われている表現もたくさん取り上げられています。
しかしながら,「メールですべて事が足りる」と思われることでも,手紙がなくなることはありません。ビジネス上の重要な事柄についてはもちろんのこと,パーソナルなやりとりでも,例えば心を込めたお礼の言葉を送る場合は手紙を書くことが多いのではないでしょうか。そのような場合のために,手紙で使われる文例も適宜紹介しています。
本書が少しでもみなさんとスペイン語圏の人たちとの架け橋となれば大変うれしく思います。
最後になりましたが,貴重なアドバイスをくださり,また遅々として進まない執筆作業を我慢強くお付き合いくださった語研編集部の西山美穂さんに,深く感謝申し上げます。
Begoña González Afuera
津田塾大学学芸学部英文学科卒業。東京外国語大学大学院博士後期課程単位取得退学。スペイン・マドリード自治大学哲文学部博士課程修了。博士(言語学)。現在,日本大学経済学部教授。
主要著書に,『快速マスタースペイン語』(語研),『だいたいで楽しいスペイン語入門』(三修社)などがある。
スペイン・マドリード出身。学士(考古学)。修士(外国語としてのスペイン語教育)。2012年より東京在住。多くの大学でスペイン語教育に携わる。同時に語学学校などでも授業を担当し,DELEの審査員も務める。教育教材,教科書の編集にも参加。