
はじめに
台湾では現在、北京語音の「国語」を公用語としていますが、もともと先住民である高砂族(中国語では「高山族」)の各部族は、それぞれアウストロネシア系の言語をもっていました。また漢民族の、客家系の人は現在でも客家語を使用し、最も人口の比率の高いびん(門構えに虫)南系の人はびん南語を使用しています。
この福建南部のびん南語を元とした言語は、50年間の日本統治時代から戦後50年たった現在まで、台湾で独自の言語や表現方式を多く形成したので、ここでは敢えて、「台湾語」という最も一般的な言い方を用いることにしました。
現在、旅行・商用または留学のために台湾を訪れる日本人の多くは、一般に公用語の「国語」にしか目をとめません。しかし、台湾のごく普通の家庭に一歩足を踏み入れたとき、「国語」しか知らないでいると、疎外感を味わうことになるかもしれません。つまり、本当の台湾社会を知りたいのでしたら、台湾語の片言でも覚えたほうが、より進んだ台湾理解ができると言えましょう。
本書は以上のような考えに基づいて編集された台湾語の語彙集です。類別して選ばれた基礎的な単語を覚えたうえ、さらに最も基本的な文型にあてはめていけば、台湾語の日常会話が自然にできるようになると思います。
もっと台湾の現実を見つめていたい方や、少し中国語を知っている方、また漢字の古音を追求されている方たちにとって、台湾語の学習はかならず有意義なことだと思います。さまざまに活用していただければうれしいことです。
構成と使い方
特徴どのページも、開いたところがひとまとまりの単位です。好きなところから単語を覚えていくもよし、また、初めて台湾語にふれる方は、順に2ページずつ覚えていくとステップをふんだ学習ができます。
本文第1章台湾語の発音を、実際に使う単語を使って詳しく解説しました。第2章が会話に使う単語です。すべて耳で聴き、口で話すことばで、使用される場面および意味としての覚えやすさを考慮して分類しています。第3章では、会話で使われるキーワードとなることばをまとめました。
使い方左のページにあげた単語や解説を、右ページで練習しながら暗記します。各項にチェック用の□がついています。書きこみながら練習して覚えます。
本書で台湾語を学ぶには、台湾で育った陳豊惠さんの吹込みによる別売CDを活用されるといっそう効果的です。
まず台湾語が、続いて日本語が読みあげられます。台北で陳明仁氏指導のもとに、本書にあげた全単語を収録しておりますので、学習にぜひお役立てください。
また、別売CD収録の音声はすべて、インターネットからのダウンロード販売も行っております。詳しくは、弊社のホームページにアクセスしてください。
CD収録時間
Disc1:62分17秒/Disc2:62分34秒
台湾・雲林県斗六市生まれ。
国立成功大学中国文学系卒業後,来日。
1975年東京大学人文科学研究科博士課程修了。
岡山大学教員を経て,現在ノートルダム清心女子大学文学部教授。